ニュースや天気予報などでよく使われる言葉に「東日本」「西日本」という言葉が使われます。西日本が雨、東日本は穏やかに晴れる等…、これはどこの都道府県を指しているのでしょうか。「東日本」「西日本」以外にも「北日本」という言い方も存在します。北日本とは北海道を示す場合が多いようですが、実際はどうなっているのでしょうか。東と西の境目はどこなのでしょうか。
目次
国が定義する「東日本」と「西日本」の境目とは?
東京は東日本、大阪は西日本というような明確な答えがある都道府県もあれば、そうでない都道府県もあります。実は国と民間で東と西の扱いは異なっているのです。
国土交通省:気象庁の場合
気象庁は「雨風の観測」と「地震や火山の監視」が主な仕事です。それに関しての気象情報を天気予報等で説明する際に用いるのが「地域名」です。それによると下記のような括りとなっています。
では沖縄県はどこに属するのでしょうか。沖縄は西日本という括りではなく「沖縄・奄美」というカテゴリに属しています。あれだけ距離が離れていると西日本と呼ぶのは難しいからです。
地図で説明すると下記の赤色の部分で区切られています。
北海道
東北地方(青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県)
関東甲信地方(東京都 栃木県 群馬県 埼玉県 茨城県 千葉県 神奈川県 長野県 山梨県)
北陸(新潟県 富山県 石川県 福井県)
東海地方(愛知県 岐阜県 ※三重県 静岡県)
近畿(大阪府 京都府 兵庫県 奈良県 和歌山県 滋賀県 ※三重県)
中国(鳥取県 島根県 岡山県 広島県 ※山口県)
四国(香川県 徳島県 愛媛県 高知県)
九州北部地方(※山口県 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県)
九州南部(宮崎県 鹿児島県)
これらを見ていると少しおかしい事に気が付きます。そうです、三重県と山口県が重複しているのです。山口県は中国地方でもあり、九州北部でもありますが、どちらにせよ「西日本」です。しかし三重県は東海地方であって近畿でもあり、東日本と西日本両方に属してしまいます。どちらが正しいのでしょうか。
答えは地図を見てわかるように、三重県は明らかに「東日本」に属しています。気象学上は三重県は東日本なのです。
民間会社が定義する「東日本」と「西日本」の境目とは?
正しい答えは気象庁の境目ですが、民間で東日本と西日本を分けている会社があります。それらはどこの地域で分かれているのでしょうか。
NTTの場合 NTT東日本とNTT西日本について
固定/携帯電話や光ファイバー等のインターネット回線でお馴染みのNTTでは、このような分け方をしています。
NTT東日本の管轄の端は「新潟県」「長野県」「山梨県」「神奈川県」です。NTT西日本の管轄の端は「富山県」「岐阜県」「愛知県」「静岡県」となります。しかしこれはあくまでNTTという民間会社が決めたサービス提供地域ですので気象庁の方が正しいと言えます。
JRの場合 JR東日本とJR西日本について
JRは日本中に路線がありますが大まかに分けると「JR北海道」「JR東日本」「JR東海」「JR西日本」「JR四国」「JR九州」となります。下記のように間に「JR東海」が入っています。
滋賀県の米原駅(まいばらえき)、富山県の猪谷駅(いのたにえき)、三重県の亀山駅、和歌山県の新宮駅が境界にあたります。
長野県の南小谷駅(みなみおたりえき)が境界にあたります。
神奈川県の国府津駅(こうづえき)、静岡県の熱海駅(あたみえき)、山梨県の甲府駅、長野県の辰野駅、長野県の塩尻駅が境界にあたります。
これは東と西の間に東海もあり、やはり東日本と西日本の定義は気象庁が正しいと言えます。
地質学:フォッサマグナで確認する東日本と西日本の境界線とは
フォッサマグナとは、地質学でいう本州の南北に昔の地層で出来た溝があり、その溝に新しい地層が埋まってできた地域の事を言います。その溝から東が「東北日本」で西が「西南日本」と呼ばれています。
西は「糸魚川」~「静岡構造線」が境目で東は「新発田」~「小出構造線」と「柏崎」~「千葉構造線」にはさまれた地域が境目となります。
東日本と西日本の境界はここだ
結論としては東日本と西日本の境目は、東海地方と近畿の境目であり、東海地方(愛知県 岐阜県 三重県 静岡県)と近畿(大阪府 京都府 兵庫県 奈良県 和歌山県 滋賀県 三重県)で重複している三重県は気象学上では東日本となります。名古屋や石川県で疑問に思われている方もいますが、それらも東日本です。
おまけ:東日本と西日本で最も違うのは周波数で、家電に注意?
東日本と西日本で何が違うのかの代表が「周波数」です。よく間違われるのが「電圧」ですが、電圧は日本で統一されており100Vです。
周波数は正確には東が50Hz(ヘルツ)、西が60Hz(ヘルツ)となり、東日本・西日本ではありません。なぜなら境目の場所が気象学上とは異なるからです。
このように静岡県の富士川と新潟県の糸魚川あたりが境目となります。どちらかというとフォッサマグナの方が近いですね。
家電製品を買うときに注意するものは「電子レンジ」「蛍光灯器具」「洗濯機」が周波数に注意する必要があります。他にも冷蔵庫や扇風機にエアコンなどは性能に影響するものがあったりします。
最近の家電製品は50/60Hz両対応がほとんどですので、特に気にする必要はありませんが、引っ越しの際は古いものなどは特に確認されることをお勧めします。
北日本:北海道、東北地方
東日本:関東甲信、北陸、東海地方
西日本:近畿、中国、四国、九州北部地方、九州南部