仕事を探している時に求人票を見ると「退職金あり(3年以上在籍)」と書かれている場合があります。これは見たまんまで3年以上その会社に在籍をすると、退職時に退職金が支払われるのですが、中には「退職金共済」と書かれている場合があります。退職金制度がない会社もある中でもらえるのはありがたいことですが、通常の「退職金」と「退職金共済」では扱いがまるで異なります。
退職金は「いつ」もらえるものなのか?
退職金とは日本の法律で「支払わなければならない」というものではありません。義務ではないので「退職金なし」の会社も数多く存在します。定年退職まで働くことは現在では少ないので、今の会社を退職して次の会社へ行く際に退職金がいつ支払われるのか気になる方が多いでしょう。
退職金がある会社は「就業規則」にいつ支払われるかが記載されています。退職金の金額は勤続年数と基本給で計算されます。基本給が少なくて手当が多い会社は要注意です、なぜなら退職金の基準となる額は基本給だからです。
退職金は「どれくらい」もらえるものなのか?
退職金の計算方法は、勤続年数×基本給です、そこへ給付率が考慮されますが、一般的な給付率は自己都合の退職で55〜58%、会社都合退職で65〜68%となっています。60%前後と考えておけば遠くは離れていないでしょう。
大企業で35年勤務の定年退職扱いで大卒「2000万〜2500万円」、高卒で「1600万円〜1800万円」が多いでしょうか。しかしこれは上がかなり引き上げていると言われていますので、実際はこれの20-30%減といったところでしょう。
中小企業となると額は上記の半分にも満たないと言われています、20年勤めて300万円や、更に勤務年数が少ない3〜5年で数十万円なんてことはザラにあります。
退職金の税金について
退職金の税金は特に気にする必要がありません。額が大きくなっても源泉徴収で対応され「確定申告」する必要が無いためです。あとはもらったお金で資産運用したり貯金したり使ったりと用途を考えるだけです。
退職金は、勤務先に所定の手続をしておけば、源泉徴収で課税関係が終了しますので、原則として確定申告をする必要はありません。退職金は、通常、その支払を受けるときに所得税及び復興特別所得税や住民税が源泉徴収又は特別徴収されます。この退職金は、長年の勤労に対する報償的給与として一時に支払られるものであることなどから、退職所得控除を設けたり、他の所得と分離して課税されるなど、税負担が軽くなるよう配慮されています。なお、退職所得についても源泉徴収票が交付されます。
出典:国税庁
しかし退職金は退職金でも「会社支給の退職金」と「共済からの退職金」では金額もまるで異なります。どのような違いがあるのでしょうか。
退職金と退職金共済の違いについて
これら2つの違いを箇条書きで説明するとこのようになります。
【会社独自の退職金】
・会社から支給される
・会社が倒産すれば支給は無くなる
・金額が大きいor少ない
・制度が廃止変更される可能性がある
【退職金共済】
・共済から支給される
・会社が倒産しても支給は通常通り支払われる
・金額は少ない
・毎月会社からの支払いで積立られる(掛け金による変動)
どちらもメリットとデメリットがあります。自社の退職金制度は「5年以上在籍」の条件があったり、途中から額や条件が変更になる可能性も十分考えられます。会社に内部留保がどれくらいあるか、大企業から中小企業まで金額の差はかなり大きいでしょう。
退職金をもらえる年数直前に経営悪化などを理由に「解雇」されることもあり、設備投資に回したために原子が枯渇している会社もあると聞きます。両方の退職金があればそれにこしたことはないですが、退職金共済は額は大したことありませんので期待しないようにしましょう。
退職金共済のもらえる金額について
中小企業退職金共済というものがありますが、それを例にしてみます。28歳に会社に中途入社して、20年間の掛け金は毎月1万円、これを会社から支払ってもらっていた場合です。
参考:中小企業退職金共済
・28歳入社
・毎月掛け金1万円
・20年(48歳まで勤務・支払い)
支給退職金金額は「2,666,600円」となりました。かなり金額は少ないですね、ここから税金やその他を引かれるとあまり期待がもてません。
・22歳入社
・毎月掛け金1万円
・35年(57歳まで勤務・支払い)
この条件で金額は「5,045,800円」となります。もちろんこれは試算額であって確定値ではありません。株や為替、金利の上昇や共済の資産運用状態によって金額の変動があり上下します。もちろん会社の掛け金が下がればもっと減りますし、上がればもらえる金額も増えます。どちらが良いかは一概にいえませんので現在の自分の立場で判断してみましょう。