水力発電と揚水発電の違いとは?ヒントは水の流れる向き

家庭用では自宅の屋根につける「太陽光発電」が盛んです。戸建ての自宅だけでなく役所の屋根や、マンションやアパートの屋上にも設置、野立てとして原っぱに設置されている事もあります。他にも風の力で風車のように動く「風力発電」や水の力で動く「水力発電」があります。実は水力発電にも様々な種類があります。

水力発電とは?

通常の水力発電とは、昔で言うところの水車のように高いところから低いところへ水が流れる勢いを利用して、発電されるものを主に水力発電と言います。川やダム、貯水池などで見かけるこのタイプですが実はいくつか種類があります。

1:川の流れで発電する時流式
2:調整池に溜める調整池式
3:貯水池に溜める貯水池式
4:揚水式(後述します)

1つ目の時流式は、その名の通り本来目にすることが多いタイプの水力発電です。川が上流から川下へ流れてくる勢いを利用して、その中間に水力発電所を建設します。その流れてきた水の勢いを電気へと変えるのです。

2つ目の調整池式は、日本には豪雨や記録的な大雨により雨の量が増える場合があります。河川に出ないように洪水を貯めておく、一時凌ぎの場所を調整池と言います。そして水が溜まったら何日か置きに、何週間か置きに定期的に河川へ水を流すときに発生するパワーを電気に変えます。

3つ目の貯水池式は、2の調整池と似ていますが調整池は比較的悪い雨の集まり方(災害など)で、貯水池は通常の雨や雪解けなどの自然な水を溜めています。ダムでせき止めてその水を使って発電するのです。

揚水発電とは?

では1つだけ外れていた揚水発電とは何でしょうか。発電に利用した水を貯水池に溜めておき、それを再利用することを揚水発電と言います。つまり、何回でも発電が可能となるわけです。上から下へ水を流して、下から上へ水を引き上げてくるのです。

そうすると1つ疑問が出てきます。それは、引き上げてくるときの電気はどこから調達しているのかということです。発電する為に放電していればもったいない、というのは当然の考えです。

しかし時間帯が異なり、通常の水力発電は昼間に行われますが揚水発電は夜に行われます。発電で得た電気は溜めることができないため、余ってしまいます。発電所は止めると効率が悪くなるため夜も稼動しています。

その夜に余った分(夜間の電力使用量は昼より少ないため)の電気で、余分に宙に浮いた状態の電気として夜間消費として動かすのです。捨てるような電気で動かしているわけです。それを3の貯水池式などで発電させます。

家庭用では蓄電池が出ていますが、まだダム程の大きなエネルギーを蓄える蓄電池はない為このようなことがされているのです。

水力発電の売電は可能なのか?

では個人でも水力発電は可能なのでしょうか。「小水力発電」として建設費の補助などが出る場合があります。

20161010-2
出典:経済産業省 資源エネルギー庁

このように水力によって買取価格が異なっています。しかし個人でやるにせよ、企業でやるにせよ「水利権」を取得する必要があります。川は皆のものですから、独占することは出来ません。

水利権とは、特定の目的(水力発電、かんがい、水道等)のために、その目的を達成するのに必要な限度において、流水を排他的・継続的に使用する権利のことをいいます。

出典:水利権について 国土交通省

水利権はその流水を占用する人が申請をしなければなりません。一級河川や二級河川によっても申請が異なります。ほとんど前例がない為、興味のある方は国土交通省に問い合わせしてみましょう。