接客業でお客様に「対応する」なんていう言葉をよく聞きますが、「応対する」という言葉もあります。非常に似ている言葉、字で見ると漢字が逆になっているだけですが意味合いは全く異なります。知らずに使っている方を見かけますが、意味を知っているととても違和感があるため、違いを確認しましょう。
「対応する」という意味は限定しない事
対応(英語ではCorrespondence)とは、どういう意味でしょうか。どちらかというと「応対する」より「対応する」という言葉の方がよく使われますが、これは「物事や状況に応じて対処・行動する」という意味です。
例えば、「迅速な対応ありがとうございます」と言う言葉があります。これは特定の物事や状況に応じて対処した事への感謝という意味です。ポイントは物事であろうが、人であろうが、犬や猫であろうが、対象を限定していないことです。
もう少し分かりやすく説明すると、「飼い猫に餌をあげる」「社内の皆が疲れていたのでジュースを買ってきてあげた」等は「対応する」となります。では「応対する」とはどういう意味なのでしょうか。
「応対する」という意味は人限定
応対(英語ではAnswering)とは、対象が「人」限定となります。物事に対しては使いません。例えば「電話をかけたら丁寧に応対してくれた」といった使い方です。
先ほどの対応するの意味で使った猫を例にあげてみましょう。猫がお腹が空いたと鳴くので、「ご飯をあげて対応した」とは言いますが、「ご飯をあげて応対した」とは言いません。なぜなら対象物が人ではないからです。
主にお客への対応、つまり接客に対しての処置・行動するという意味で使われます。電話や面と向かっての接客が良いという事を、「丁寧に応対してくれた」と使うのです。
対応と応対は使う場面が被っている
しかし1つ困ったことがあります。それは使い分けが明確でない部分があり、被ってしまうという事です。
対応する⇒状況に応じて対処する(人も含む)
応対する⇒人に対して対処する(人限定)
つまり、「問い合わせたら丁寧に対応してもらえた」と「問い合わせたら丁寧に応対してもらえた」はどちらも正解なのです。意味的には「応対する」の方が理想ですが、この場合は「対応する」も間違いではありません。
じゃあ対処って何だろう?
2つの意味を比べたときにどちらも「対処する」という意味になっています。対処(英語でDeal)するとは、物事に対して処置をするということです。
「電話で問い合わせがあった」という物事に対して
「質問に答えた」という処置をするのです。
人と物事の両方に使える事もあれば、人にしか使えない言葉もあります。適切な場面で上手く使いこなせるようにしましょう。