自動車の燃費はカタログとは乖離があります。それはそれぞれの運転環境が異なるためではありますが、あまりにも離れすぎているため徐々に計測方法を国が変更してきました。日本では3種類の計測方法があり、それぞれ結果として出る燃費の値は異なります。それぞれの違いと計測方法にどれくらい差が出るのでしょうか。
目次
自動車の計測方法は3種類ある
日本の自動車で燃費を計測する方法は3種類存在します。WLTPモード(予定)・JC08モード・10・15モードです。それぞれいつからおこなわれ、どのような計測方法になっているのでしょうか。それぞれの測定方法を見てみると、少しでも実際の燃費に近づくため測定方法が変化してきたのが分かります。
1991年から2011年まで使われていた10・15モードとは
市街地や郊外を走る事を想定して作られた、燃費の計測方法です。最大の特徴はエンジンが温まってから計測するため、実燃費とはかなりかけ離れた燃費の数値になっていたため、2011年を持って終了しました。
国土交通省認可時の測定条件
3,000km慣らし走行後の車両
完全暖機状態 60km/h15分暖機後モード測定
走行抵抗設定 車両(空車)状態+110kg(2名乗車分)
搭載電気機器 OFF状態
エアコン OFF状態
通常自動車を運転する時は、冷え切った状態から自動車を発進させます。しかも搭載電気機器(カーナビ・ドライブレコーダー・バックガイドモニター・ETC・CDプレイヤー・テレビ)などの電源はつけず、エアコンも切った状態です。今はこのような運転は珍しいため、より実際の走行に近い計測方法として、次のJC08モードが登場するのです。
2011年から使われているJC08モードとは
10・15モードに代わり、より実際の走行と近い形の計測方法がJC08モードです。最大の特徴はエンジンが冷え切った状態からのスタートに変更になった点です。
測定時間も倍近く長くなるほか、平均時速も高められ、最高速度も70km/hから80km/hに引き上げられる。重量区分に関しても10・15モードよりも細分化されたため実際の重量により則した計測となる。
より実際の走行に近く、測定基準が厳しくなったため10・15モードと比較して10%から20%の燃費値の低下が見られましたが、これでもまだ乖離は存在します。三菱自動車の燃費不正問題も各地で大きく取り上げられ、数値に対する不信感が一層高まりました。
そして更にバージョンアップした計測方法として「WLTPモード」が採用される予定になりました。
2018年度から予定している「WLTPモード」とは
WLTPモードとは国際的に定められた試験方法で、国連が主導しているものです。
1:平均車速の上昇
2:アイドリング時間比率の減少
3:コールド比率の増加
4:試験自動車重量の増加
大きく上記の内容が変更になります。
今回実施したJC08燃費試験とWLTP燃費試験の相違点の比較及び各相違点の燃費値への影響の分析等の結果、これまで 得られたデータによる全体的な傾向として、WLTP燃費値はJC08燃費値と比較して、同水準か低い(燃費悪化側)値となる傾向が確認された。
出典:燃費試験におけるWLTPの導入について(案 経済産業省
経済産業省によると同水準か燃費悪化になるのが全体の傾向との事。以前のように一概に悪化するのではなく、少し下がる程度になることが予想されます。私自身、JC08モードで約21km/Lの車に乗ったことがありますが、数千キロ走って概ね14km/Lと7割の燃費しか計測されませんでした。燃費表示は少しでも実燃費に近い表示になることが期待されます。